グリーンインフラ最新動向

農業・林業分野と連携したグリーンインフラ活用:地域資源の多機能化と活性化への貢献

Tags: 農業, 林業, 地域活性化, 多機能化, グリーンインフラ, 農山村

はじめに

近年、都市部のみならず、農山村地域においてもグリーンインフラの概念を取り入れる動きが見られています。特に、農業や林業が営まれてきた土地やその周辺の自然環境は、これまでも食料生産や木材供給といった基盤機能に加え、治水、水源涵養、生態系保全といった多様な公益的機能を有してきました。これらの地域資源を、現代のグリーンインフラの視点から捉え直し、新たな価値や機能を見出すことは、農山村地域の持続可能性を高め、地域活性化に貢献する重要なアプローチとなります。

農業・林業分野におけるグリーンインフラの対象となりうる資源

農業・林業が営まれる地域には、グリーンインフラとして活用できる多様な資源が存在します。主なものとしては、以下の要素が挙げられます。

農業・林業分野におけるグリーンインフラの多機能性

これらの資源をグリーンインフラとして位置づけ、適切に保全・管理あるいは再生することで、以下のような多様な機能や効果を発揮させることが可能です。

地域資源を活かしたグリーンインフラ推進の視点

農業・林業分野においてグリーンインフラを推進するためには、いくつかの重要な視点があります。

課題と展望

農業・林業分野でのグリーンインフラ推進には、土地所有構造の複雑さ、維持管理負担、関係者間の利害調整、経済性の評価といった課題が存在します。しかし、これらを克服し、農山村地域の資源をグリーンインフラとして戦略的に活用することは、地域固有の課題解決に加え、都市部を含めた流域全体や広域的な環境課題の解決に貢献する大きな可能性を秘めています。

まとめ

農業・林業分野における豊かな地域資源は、治水、生態系保全、景観形成、地域活性化など多様な機能を持つグリーンインフラとしての高いポテンシャルを有しています。これらの資源の価値を再認識し、関係者間の連携のもと、多機能性を引き出す取り組みを進めることは、農山村地域の持続可能な発展と、国土全体のレジリエンス向上に不可欠であると考えられます。